山近 泰(やまちか やすし)— 伝統九谷五彩で描く、現代美術陶芸

山近 泰(やまちか やすし)— 伝統九谷五彩で描く、現代美術陶芸

独自の世界観と表現

山近泰さんは、九谷焼の伝統色「五彩」を駆使し、動物や植物を題材に独自の世界を描き出す作家です。九谷和絵具特有の深みある発色に、瑞々しいツヤ感と力強さが重なり、幻想的でありながら生命力に満ちた作品を生み出しています。

動物や植物をモチーフにした山近さんの作品は、親しみやすさと現代的な洗練が同居し、多くの美術展や工芸展で高く評価されています。その表現は単なる装飾に留まらず、器そのものに物語性と気品を宿らせています。

暮らしに寄り添う器づくり

鑑賞用の美術作品だけでなく、日常の食卓を彩る器づくりにも力を注いでいます。日常使いの器にも、美しい色彩や緻密な模様が施されており、使うたびに九谷の伝統美を身近に感じることができます。造形や色彩はもちろん、図案にも強いこだわりがあり、現代の生活空間に自然に溶け込む九谷焼として親しまれています。

 

作家としての人柄

山近さんは、とても気さくでアイディアにあふれる方です。KASHIKOが風呂敷を一緒に制作しようと相談に伺った際には、モチーフや構図に至るまで次々と提案してくださり、会話の中から形が生まれていきました。作家としての豊かな感性を持ちながら、仕事は正確でスピーディー。リズム良く制作が進み、共に取り組んだ風呂敷はスムーズに完成しました。その誠実で協力的な姿勢も、多くの人を魅了する理由のひとつです。

 

工房の風景

山近さんの工房は、ご自身の店舗の2階にあります。棚にはたくさんの素焼きの器が並び、それぞれがこれから絵付けを待つキャンバスのように静かに置かれています。机の上には、鮮やかな色彩を生み出す顔料や、用途ごとに使い分けられた絵筆が整然と並び、工房全体が創造の空気に満ちています。訪れると、これから作品が生まれていく瞬間に立ち会っているような、静かな期待感に包まれます。

 

KASHIKOとの響き合い

KASHIKOが大切にしている「静けさと美を日常に」という理念は、山近さんの作品と深く共鳴します。五彩が織りなす鮮やかさの中に、どこか落ち着いた静謐さがあり、それは日常の時間を穏やかに整えてくれる存在です。

山近 泰 略歴

1975年:石川県能美郡寺井町に生まれる

2000年:石川県立九谷焼技術研修所 卒業

2012年:第35回 伝統九谷焼工芸展 大賞受賞

2013年:陶美展入選(以後連続入選)、創造展 会員賞受賞

2017年:伝統九谷焼工芸展 優秀賞受賞

2020年:伝統九谷焼工芸展 大賞受賞

日本工芸会 正会員、日本陶芸美術協会 会員

 

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